「歯医者さんは、歯が痛くなってから行くところ」
今までは、そのようにお考えの患者さまが多かったように感じます。
それは、歯科医院が患者さまに、正しい情報を提供できていなかったのが要因です。
現在では、「痛くなったら治療する」という考え方とは異なり、
「お口の健康を維持する」ことを目的として、
定期的に歯科医院に来院されることを提案しています。
「なぜむし歯になるのか?」
「なぜ歯周病は進行するのか?」
まずは、その知識を身に付けていただいて、どうすれば生涯歯を失わないかを
知っていただく必要があります。
それは、『予防で一番大切なことは、セルフケア+プロフェッショナルケアによって、
お口の中を清潔に保つこと』という考え方があるからです。
つまり、自宅での正しい歯磨き(セルフケア)ができるようになった上で、
定期的な歯科医院での衛生士さんによるクリーニング(プロフェッショナルケア)を
行なうことで、口腔内を清潔に保てるという考えです。
あくまでメンテナンスとは、『自宅での歯磨きができていることが前提である』と
いうことを知っていただければと思います。
そこで、ご来院された患者さまには、歯石を取って、むし歯を治して、
またメンテナンスをするというサイクルだけではなく、まずは担当の衛生士と一緒に、
歯周病の進行状態を知っていただき、なぜこのようになったのかを分析して、
これ以上進行しないように考えてゆきましょう。
まずは、自分の歯をしっかり磨く方法から指導させていただきます。
■ 正しい歯ブラシの選び方・磨き方
■ 患者さま個々に合った歯磨き粉の選び方
■ 食生活習慣指導
■ 歯ブラシ以外の清掃器具の提案
一番大切なことは、
『歯の大切さを知っていただき、本当に自分の歯を失いたくない、と考えていただくこと』だと、私達は考えます。
「平成22年度香川県 歯の健康と医療費に関する実態調査」によると、
健康な歯が多く残っている人ほど、1年間にかかる医療費の額が安くなることが分かりました。
残存歯数が、0~4本の人は平均で年間517,400円、20本以上の人は平均で年間341,500円、年間で175,900円と約1.5倍もの開きがあります。
例えば、歯の治療をするだけでも、
このような違いがあります。
これほどにも大きな違いがあるのなら、むし歯になったり、痛くならないうちに
歯医者で定期的に検診を受けるなどして、日ごろからメンテナンスを心がけておくことが
いかに大切であるかが、お分かりいただけると思います。
例えば、歯磨きをしていても、口腔内には「どうしても磨きにくい箇所」があります。
細菌はそういう箇所に蓄積しやすく、
歯の表面に「バイオフィルム」と呼ばれる膜を張って固着し、むし歯の原因になります。
正しいブラッシング方法を、衛生士さんと一緒に習得していきましょう。
当院では、『ながら磨き』を推奨しています。
健康な方なら28本、親知らずがある方なら32本、歯があります。
果たして、3分で全ての歯を磨くことができるでしょうか?
計算してみると、1本あたり、6秒程度しか磨けていないことになります。
それは、歯磨き粉が溢れそうになるので、
すぐ吐き出せるようにするためです。
歯磨き粉には、「発泡剤」という泡立つ成分が入っています。
勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、
泡ではプラークは除去できないのです!
あくまで、歯ブラシの毛先でこそぎ取ることが重要で、
泡はさっぱり感を出すためだけのものだと考えてください。
ポイントは、歯磨き粉をつけないということです。
もしくは、発泡剤・研磨剤が入っていない歯磨き粉を使うことです。
ただし、磨き終わった後に少しだけ歯磨き粉をつけて、もう一度、歯磨きをしてください。
歯磨き粉は、フッ素を取り入れるために必要になります。
一度付いてしまった歯石は簡単には除去できません。
除去しても時間が経つと再付着してしまうものでもあるので、
定期的に歯科医院でキレイに取り除いていくことが大切です。
また、歯垢や歯石は細菌の住み家になりやすく、放っておくと歯周病を
発症する原因にもなります。
器具やペーストを用いて、歯の表面に付着したプラークを除去する
クリーニング方法です。
この方法を用いれば、歯の表面はもちろんのこと、
歯周ポケットの中まで、すべてのプラークを除去することができます。
また、歯面がツルツルに磨かれることにより、プラークが付着しにくくなる効果もあります。
しかしこれは、日本では当てはまることなのですが、他の歯周病予防先進国では当てはまりません。
当院でも、患者さまにきちんとした知識をも身に付けていただきたいと思っています。
皆さま、ご自身の歯を大切にしていきましょう!!